日本はこれまでに無いほどの翻訳ブームの真っ只中。翻訳ニーズの急騰で、続々と新しい翻訳会社が登場しています。おかげで競争原理が働いて、かつてに比べると翻訳料金の幅が広がりました。新たな翻訳会社の中には、翻訳とは全く縁の無いような異業種からの参入企業もあれば、社内向けの翻訳業務を社外向け事業に展開する企業もあります。最近目立っているのは、海外に拠点を置く中小規模の翻訳会社が日本市場に新参入するケースです。
翻訳を外注しようとする際に、「海外に拠点を置く」という点で懸念に感じる方もいるかもしれませんね。確かに日本企業と違って、いくつか注意したい点があります。その一方で、海外拠点ならではのメリットもあります。
ここからは、海外に拠点を置く中小規模の翻訳会社に発注する際、どのような点に注意すべきかをご紹介します。
日本語スキルのチェック
日本での市場展開を目指して参入してくる海外の翻訳会社で多いのは、欧州系とインド系がほとんどです。大手翻訳会社であれば現地オフィスを設けて、現地言語のネイティブ社員を採用し、現地密着型の翻訳サービスが提供されていますが、中小規模となるとそれはほぼ不可能なことです。
翻訳対応言語として「日本語対応可」となっていても、必ず事前に日本語能力を確認しましょう。その方法としてお勧めなのは、英語原稿を送って日本語に翻訳してもらうこと。
無料の翻訳トライアルがあった場合は、是非日本語への翻訳を試してみて下さい。日本語の原稿を多言語化してもらうためには、日本語能力が高いことが一番重要です。
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担当者とのコミュニケーション方法の確認
メールのやり取りだけならさほど気になりませんが、いざ受注担当者と直接話をしたいという時に電話では大変なコストが発生してしまいます。
Skypeやそれに類する方法でコミュニケーションがとれるのか?業者とのコミュニケーションについて、どのような方法で対応するのか、事前に確認しましょう。また、その際の言語も要チェックです。翻訳言語として日本語はあっても、カスタマーサービスも日本語対応するかは別問題です。
専門分野と実績の確認
海外に拠点を置く、置かないにかかわらず、また業者に規模にも関係なく、翻訳業者が対応可能とする専門分野とその実績は必ず確認しましょう。
メールで問合せても良いですし、HPで公開している情報からも判断できます。日本市場に新規参入であっても、分野の実績についてはどの国のものでも構いません。日本語能力がしっかり確認できる業者であれば、海外市場で築いた実績を参考にして発注してもOKです。
むしろ国内業者ではあまり実績がみられない分野で、豊富な経験をもつ業者が海外には存在するかもしれません。
見積り内容の確認
翻訳を外注するなら、必ず必要な見積り。この場合も例外ではありません。日本人が当然と思っていることが、海外の見積書にも適用されるとは限りません。
発注後に、発注内容の違いに気づいても手遅れになってしまいます。依頼しようとする原稿を用意して、その見積りをとりましょう。極端に料金が安い時には、機械翻訳を翻訳作業の一部、もしくは全体に利用している可能性もあります。機械翻訳を望まない場合は、その点もしっかり事前に業者に伝えましょう。
料金だけではなく、作業明細もしっかり確認しましょう。競争のおかげで国内の翻訳業者の多くが、翻訳と翻訳チェックをパッケージにした便利でお得なサービスを低価格で提供しています。
翻訳チェックがあると、無いとでは、安心感が違います。翻訳外注の意義は、そこにあると言っても過言ではありませんから、海外拠点の業者にも同様のサービスを期待したいですよね。
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取引条件の確認
日本人同士なら当たり前の取引方法が通用しない場合があります。費用の支払いにクレジットカードを指定される場合もあり、銀行振込でも、海外の銀行口座の場合は振込手数料が大きくなります。
翻訳費用を安く抑えても、このようなところで費用負担や煩わしい手続きが発生しては残念です。支払期限や、支払方法等も事前確認が必要です。
日本時間での希望納期
「海外に拠点を置く」と聞いて不安になるのは、やはり時差の問題。そしてその時差があることで注意しなければならないのは、納期です。国内の業者との取引であれば、希望納期の日時は、説明しなくても日本時間で相互理解されますが、海外が拠点の会社の場合は、要注意。希望日時を伝える時には、明確に「日本時間で」を追記しましょう。
分かっているようで、案外見落としてしまう時差。何か問い合わせをした際も、「日本時間の○月△日の何時まで」と伝えることが重要です。
時差があることは必ずしもデメリットではありません。国内業者であれば、最短納期が24時間のところが、海外を拠点とする翻訳業者であればもっと短納期を実現できる可能性もあります。
例えば、日本時間で午後18時に発注した場合、国内業者では翌日の作業になるかもしれません。けれども海外業者であれば日本時間18時は現地時間午前9時なので、すぐに作業をして、日本時間の午後20時に納品、ということもあり得ます。
海外拠点の翻訳業者に発注するメリットはこの点にあると思います。料金や日本語能力、翻訳品質や翻訳原稿の用途などよりも、とにかく納期が最優先されるような案件であれば、海外拠点の翻訳業者も試してみる価値はあるかもしれません。