翻訳需要が高まっているのは、大きな会社ばかりではありません。ECサイトでの海外顧客との取引、あるいはSNSを使って海外向けに情報を発信する等、小規模事業者や個人の間でも翻訳ニーズは急増中です。翻訳は簡単な作業ではありません。大企業ならまだしも、個人や小さな事業者では、翻訳を外注できるような予算を持っているところは滅多にありません。そこで思いつくのが、翻訳ソフトや機械翻訳を使った翻訳です。
翻訳ソフトも決して安くはありませんが、5万円前後で一般的なものは購入可能。1回の翻訳外注で1万円以下の料金ですむケースは稀ですから、頻繁に、また長期的に翻訳作業が発生するならば、翻訳ソフトの購入を検討する価値は十分にあるかもしれません。
インターネット上にはさまざまなタイプのフリー翻訳ツールもあります。いわゆる、機械翻訳です。翻訳したい文章をコピペするだけで、あっという間に英語や韓国語、中国語をはじめとする様々な言語に変換できます。最近では、Google翻訳が有名ですね。
便利で、翻訳費用を軽減できる長所がある一方、翻訳ソフトや機械翻訳には残念ながら欠点もあります。そのような欠点をなるべく抑えて、長所を生かすにはどうすれば良いのでしょうか?ここからは翻訳ソフトや機械翻訳を利用する際に気をつけたい5つのポイントをご紹介します。
翻訳する文章は短く、簡潔に
翻訳ソフトや機械翻訳の最大の欠点は、誤訳です。利用される回数に応じて、翻訳データが蓄積され、そのデータをもとに翻訳を行うのが翻訳ソフトや機械翻訳のメカニズムになっています。しかし言い換えれば利用回数が少なく、またいつも同じような文章の翻訳ばかりしていては、いつまで経っても翻訳ソフトや翻訳機械はデータが増えないために、賢くならず、同じ間違いを繰り返してしまうのです。
誤訳を減らすために有効な方法は、翻訳する日本語文章をなるべく短く、また簡潔にすることです。短く誰が読んでも同じように理解される文章にすることで、ソフトや機械側が意味を取り違えて発生する誤訳を減らせます。
機械翻訳に限った話ではありませんが、誤訳を招く原因は色々あります。誤訳を防ぐためにはどんな手段があるでしょうか?以下の記事もあわせてお読みください。
誤訳を招く要因とは?誤訳を防ぐためにできること
翻訳を外注したら、納品された原稿のあちらこちらに誤訳を発見!こんな残念な経験は誰もしたくありません。 ここからは、誤訳を防ぐために翻訳外注の前にできること、そして誤訳されないための翻訳業 ...
自動更新機能の有無を確認
翻訳ソフトを購入する際には、自動的にアップデートできるものを選択しましょう。
多くのソフトウェアは、自動更新機能が備わっているはずですが、中には更新できずに買い替えになってしまうソフトウェアも稀にあります。買い替えをしなければならないタイプでは、費用が無駄になってしまうばかりでなく、それまで蓄積したデータの移行にも手間がかかり、時間も無駄になってしまいます。最悪の場合、旧データが使えないというケースもあります。
くれぐれもそのようなことが発生しないように、自動更新機能付きの翻訳ソフトを選択することをお勧めします。
翻訳原稿を必ずチェック
翻訳を外注すると確かに料金が高いですが、それには理由があります。一つには専門分野での知識や経験の豊富な翻訳者が翻訳を行うから、さらにはチェッカーと呼ばれる翻訳原稿を最終確認し、より精度の高い翻訳原稿に仕上げるプロの作業が行われるからです。翻訳の品質は、むしろ後者のチェッカーによる作業にかかっていると言っても過言ではありません。
翻訳ソフトや機械翻訳を使った翻訳では、このチェッカーによる作業が欠落していることも、品質の良くない翻訳結果を出してしまう原因の一つです。
翻訳チェックだけを外注することも可能ですが、そうであれば最初から翻訳と翻訳チェックをまとめて外注した方が妥当です。それでは外注せずに翻訳原稿のチェックをするには、どうしたらいいのでしょうか?
一つの方法は、同じ翻訳ソフトもしくは機械翻訳を利用して、元の言語に「再翻訳」してみることです。例えば、日本語原稿を英訳した場合では、その英訳文を同じツールで日本語に翻訳してみるのです。その結果、オリジナルの原稿に近い翻訳が得られれば翻訳の質が悪くないという目安になります。
翻訳結果の比較
翻訳を外注する際に2社以上の業者から見積りをとるように、機械翻訳を利用する際も2種類以上のツールを使い、同じ原稿を翻訳してみましょう。同じ原稿でも、必ず異なる翻訳結果が出てくるはずです。
語学力がある人ならば、その翻訳結果をもとに、どちらのツールの翻訳が満足できるかを判断できるでしょう。もし、語学力があまりない人であれば、前述した「再翻訳」をここでも試してみると良いでしょう。「再翻訳」の結果、オリジナル原稿に近い方が、より正確な翻訳が可能なツールと判断できます。
翻訳結果の比較だけではなく、機械翻訳ツールの使い易さも重要な選択要素です。機械翻訳の中には、レイアウトが見づらいものもあります。もちろん、翻訳品質が最優先ではありますが、翻訳作業が連日発生し、ボリュームが多いような場合は、快適に使えるツールであることも大切です。
人による翻訳と使い分ける
ここまで翻訳ソフトあるいは機械翻訳を使うことを前提に、利用前に気をつけたい点を挙げてきましたが、やはりこれらのツールで完璧な翻訳文を完成させるのは無理があります。
翻訳原稿の用途や分野によっては、その影響力も考慮して、費用がかかっても翻訳者やチェッカーによる翻訳作業が行われる翻訳業者へ外注しましょう。特に外部に公開するような文章や重要な契約、専門性の高い分野の翻訳で、翻訳ソフトや機械翻訳はほとんど通用しないと思われます。
あらゆる文章の翻訳を外注する必要はありませんが、目的や重要性を考慮しながら翻訳ソフトなどのツールとの使い分けを行うことで、結果的にコストパフォーマンスの高い翻訳作業が実現できるはずです。
現在、多くの翻訳会社がトライアルサービスを提供してくれているので、以下の記事を参考にトライアルを依頼してみても良いかもれません。
-
トライアル翻訳を上手に利用する
近年の日本における翻訳需要は、かつてない伸びを見せています。 その需要増を支える要因の一つは、インバウンド対策。海外からの訪日外国人に向けて、官民一体による大規模なインフラの多言語化プロジェクトから、 ...